機動戦士ガンダム THE ORIGIN 2 哀しみのアルテイシア

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ナレーター:「人類が新たな転地を求めて宇宙に進出した時代、それは『宇宙世紀』と名付けられた。彼らの未来は地球の周りに建設された巨大なスペースコロニーに委ねられたのだ。しかしその第2の故郷は約束された楽園ではなかった。宇宙世紀0057、地球から最も離れたサイド3にスペースノイドの独立と人類の革新を訴える指導者が現れた。その名はジオン・ズム・ダイクン。地球圏の歴史は彼に導かれて更に前進するかに見えた。だがそれは人類史上にかつてなかった悲惨な戦争へと続く、いばらの道の始まりにほかならなかった。ダイクンはサイド3、すなわちムンゾに自治政府を樹立し条件付きの自治権を地球連邦政府に認めさせた。しかし自治権の拡大と完全なる独立を目指すダイクンの戦いは地球連邦軍による厳しい弾圧に直面することとなった。宇宙世紀0068、その日ダイクンはムンゾ議会で歴史的演説に立った。ムンゾからの地球連邦駐留軍の撤退要求と事実上の独立宣言がそこでは発せられるはずだった。しかし・・・演説の冒頭ダイクンは倒れた。ダイクンの急死は多くの臆測を生んだ。民衆は地球連邦による暗殺を疑い激高した。そしてダイクン陣営内部でも積年の派閥抗争が一気に爆発した。長くダイクンを支えその右腕と称されてきたデギン・ザビはこの機会を逃さなかった。彼とその一党はダイクンの残された家族を囲い込もうとしたライバル、ラル家を打倒し、事実上ザビ家がムンゾの実権を掌握した。ダイクンの妻アストライアは幽閉された。そしてその子キャスバルとアルテイシアはムンゾ防衛隊のランバ・ラル大尉とクラウレ・ハモンの活躍により、ラル家の当主ジンバ・ラルと共に辛うじて地球へ脱出するのだった」
キャスバル:「僕とお前やお母様やみんなの敵だ。やっつけてやる!」
ナレーター:「幼い2人は広大な未知の世界と過酷な運命に直面することになった。そしてその運命が2人を・・・殊に大人たちの暗い争いを知るキャスバルを変貌させてゆく。後の『赤い彗星シャア・アズナブル』へと」

宇宙世紀0071 スペイン アンダルシア
難民1:「お嬢ちゃん。この辺の子かい?10歳?あー。そうは見えないな。しっかりしているよ。」
難民2:「助かるね。」
難民3:「きっといいお医者さんになれるね。」
難民4:「えっ?あそこに住んでるの?」
難民5:「こりゃ驚いた。それじゃあんたお姫様だ。」
セイラ:「ウフ。」

哀しみのアルテイシア

テアボロ:「難民の数はこれからも増えましょうかね?」
高等弁務官:「流れは当分止まりそうにありません。アルジェもマラケシュも砂に埋もれました。北アフリカはもう人の住める所ではありません。気候変動に対する根本的な対策が必要だったのです。」
セイラ:「お父様!ただいま!」
使用人:「いけませんセイラ様。キャンプに行かれた後はまず消毒しませんと!」
高等弁務官:「今のお子様が例の?」
テアボロ:「そうです。」
高等弁務官:「まあお見受けしたところ・・・。」
テアボロ:「実の親子のようでしょ?正直に言って最初は気乗りしなかったのです。旧知の友人のためとはいえ、何の関わりもないスペースコロニーの政争に巻き込まれる危険もあるわけだし。でも初めて分かりました。家庭を持つ市民の幸せが。」
使用人:「あらまあ。シャワーをなさるんじゃ・・・。」
セイラ:「いいの!」
使用人:「おおっ。」
セイラ:「プールで泳ぐから!」
使用人:「セイラ様!」
セイラ:「はっ。」

ジンバ・ラル:「キャスバル様!よそ見はいけませんぞ。ここは大切なところです。スペースノイドの歴史的使命に思い至り、人の革新を思想化されたとき、ニュータイプという偉大な概念が生まれたのですぞ。いつの時代でも予言者は孤独でした。ダイクンの思想も当初は容易に人々には・・・うん?聞いておられますか?キャスバル様。」
エドワウ:「あっ?ああ。」
ジンバ・ラル:「う~ん。ならよろしい。人類が宇宙へ出て地球を一生命体として見られるようになって初めて進化の時が与えられたのです。不完全なコミュニケーションを超えて互いを理解し合い、のみならず身体的には新たな可能性を約束したニュータイプこそが・・・。」
セイラ:「んっ。ハァ。どうしちゃったんだろう?ハァ。」

高等弁務官:「土地のご提供感謝しますドンテアボロ。」
テアボロ:「どういたしまして。高等弁務官のお役に立てて光栄です。ただ治安と衛生の面だけは監理していただけませんと・・・。ん?うん?」

ジンバ・ラル:「そして今ムンゾは新しい国名として『ジオン』を名乗ろうとしておるのです!よりにもよってジオン・ダイクンを謀殺したザビ家の者どもの音頭で。お父様の死因が毒殺であることは明白です。ある種の毒物を服用させ続けることによって心臓を弱らせ・・・。うん?アルテイシア様!いいところへ来られた。」
セイラ:「また毒のお話?」
ジンバ・ラル:「えっ?」
セイラ:「お兄さん。何だか・・・。」
エドワウ:「えっ?気分が悪い?ん・・・。熱がある。風邪かもしれない。薬を飲んでベッドで休まないと。」
ジンバ・ラル:「ああキャスバル様。ではこの続きは・・・。」
セイラ:「お兄さんはエドワウよ。それと私はセイラ・マス。」
ジンバ・ラル:「やれやれ。成長するということは慶事でもあるが同時にまた・・・。うん?何だ?」
使用人:「ただいまお見えになりました。」
ジンバ・ラル:「ほう!来たか。」

男:「フフフ・・・。」

テアボロ:「勝手なことをなさっては困る!」
使用人たち:「はあ?」
テアボロ:「法制局の役人?うそをおっしゃい!あれはアナハイム社のチェルシー副社長だ。私の商売敵だった男だ。見間違えるわけがない!とにかく私の部屋でじっくり話し合いましょう。」
使用人たち:「あっ。」
テアボロ:「言いなさい。彼らと何を相談していましたか?」
ジンバ・ラル:「うっ。す・・・すまん。」
テアボロ:「サイド3への武装反攻の企てですね?私に断りもなく勝手なことを!許しません!そんなものが成功するはずもない!」
ジンバ・ラル:「そ・・・それはやってみなければ分からん!アナハイム社は全面的に協力すると言ってくれた。武器も資金も!加えて連邦中枢に働きかけて支持を取り付けてくれるとも・・・。これでも成功しないといえるだろうか!しかも我々の側には・・・。」
テアボロ:「我々の側には?」
ジンバ・ラル:「我々の・・・側には・・・。ダイクンの残されたお子たちがいる!完璧ではないか!これでザビ家打倒は成る。ザビ家の支持基盤なぞ弱いものだ!それに対してダイクンの威光は今もさん然と輝いておる。あの麗しき成長したキャスバルとアルテイシアを見れば民衆はこぞって我が方に付くだろう。」
テアボロ:「エドワウとセイラは私の子だ。」
ジンバ・ラル:「うぐっ。」
テアボロ:「ダイクンの子では生き延びられんというから私は2人をマス家の籍に入れたのだ。」
ジンバ・ラル:「そ・・・それはいっときの方便と百も承知のはず。許されんぞ、あの2人をお前さんだけのものにするのは。」
テアボロ:「それならばこの家を出て外で勝手にそういう企てをするがいい!」
ジンバ・ラル:「うっ、おお。」
テアボロ:「あなたにそれだけの覚悟があり、あの2人もそれについていくというのなら私も潔く親権を放棄し、この3年余りのことは全て忘れよう。何でもないことだ。あの子たちが命を懸けた戦いに立とうと決意することに比べれば。」
ジンバ・ラル:「ああ・・・。そ・・・それは困るそんなふうに言われては。あんた以外に頼りにできる人はいない。ま・・・魔が差したんだ。アナハイム社ほどの巨大企業が味方してくれたら勝負に出られるかと。」
テアボロ:「彼らはただ、もうけ話に乗ろうとしているだけだ。ジオンもザビ家もあなたたちのこともどうでもいい。それがアナハイムという軍産複合企業なんです。」
ジンバ・ラル:「さもあろう。さもあろうがわしは乗せられてみようと思ったのだよ。ザビ家がジオンを名乗るなぞ耐えられん。わしは夢を見たかったんだ、もう1度夢を。それもいかんのだろうか?わしはもう夢を見ることも許されんのか?ドンテアボロ。どうか、もう1度わしに夢を。」

セイラ:「お母さん。今夜は満月です。地球に来てから43回目の満月です。満月から次の満月までの日数が1か月もあると知ったとき、お母さんはひどいと思いました。でももうすぐ50回。半分100回のころには私は今よりもっと大きくなっているから、お母さんはきっとびっくりね。お兄さんはジンバ・ラルさんより背が高くなりました。テアボロさんはまた太りました。まるで・・・うう・・・。」

テアボロ:「どういう具合だね?」
医者:「多分風邪でしょうが・・・キャンプで患者と接触したとしたら、サハラ熱の可能性もあります。とにかく様子を見ましょう。」
エドワウ:「僕、朝までここについています。」
医者:「それはいい。助かるね。何かあったらすぐに呼んでください。」

エドワウ:「んっ?犬が急に鳴きやんだ、どうしたんだ?」

警備員:「うわっ。」

エドワウ:「あっ。アルテイシア。起きろ!アルテイシア!」
セイラ:「はっ。」
エドワウ:「逃げるんだ!」
テアボロ:「うん?何だ?んっ。あっ。あーっ!うっうっうわあ!うっ。うわっうっ。うわっあー。あっあっうっあっ・・・。あーっ。」

セイラ:「寒い・・・エドワウ兄さん。何?どうしたの?」
エドワウ:「静かに!」

ジンバ・ラル:「貴様!ザビ家の回し者だな!うわあ!」

エドワウ:「早く!急いで。(使用人たちの悲鳴)ここも駄目だ。やっぱり上に。」
セイラ:「行き止まり!」
エドワウ:「工事中?」
甲冑の襲撃者:「くっ!」
エドワウ:「くっ!」
甲冑の襲撃者:「ハハハ・・・。」
エドワウ:「うっ。」
セイラ:「はっ!」
甲冑の襲撃者:「(うなり声)」
セイラ:「嫌!嫌!」
甲冑の襲撃者:「(うなり声)」
セイラ:「うわあ~!嫌!」
エドワウ:「うう・・・。うっ。」
甲冑の襲撃者:「(うなり声)」
エドワウ:「うああっ!」
甲冑の襲撃者:「(うめき声)」
セイラ:「はっ。」
エドワウ:「・・・!」
甲冑の襲撃者:「うわあ!ううっ!」
(パトカーのサイレン)
エドワウ:「ハァ。」

刑事1:「ひどいなこれは。」
刑事2:「まるで市街戦の跡だ。」
警部:「物取りはやらんな、普通ここまで。」
刑事2:「怨恨ですかね?それとも何かの見せしめ?」
男性:「警部!」
警部:「ん?見舞い?駄目だ。『一般人は入れるな』と言っただろ。あっ!『YASHIMAカンパニーCEOシュウ・ヤシマ』?あっ。」
刑事たち:「う・・・。」

テアボロ:「やあよく来てくれた。こんな格好ですまない。」
シュウ:「ご災難でしたな、ドンテアボロ。」
テアボロ:「ザビ家の手先です。ジンバ・ラル氏とアナハイム社が接触したために襲われました。ずっと監視されていたのです。なのについ気を緩めてしまった。3年以上も何事もなかったものだから。2人は無事でした。でももう駄目です。私にはあの2人を守ってやる力はありません。」
シュウ:「ドンテアボロ。ルウムにお住まいになりませんか?」
テアボロ:「ルウム?サイド5?」
シュウ:「あのコロニーの1基を私は持っています。『テキサス・コロニー』というのです。かつてのバブル期にテーマパークとして建設されましたが、そのまま放置されていたのを買い取ったのです。ご心配なく。工事は続行させました。不便かもしれませんが使用に耐えます。」
テアボロ:「そのテキサス・コロニーになぜ?」
シュウ:「ザビ家に恭順の意を表すのです。」
テアボロ:「恭順?」
シュウ:「サイド3。ムンゾにいちばん近いルウムなら監視されやすい。そこにいる者が反抗などするはずがない。そう思わせるのです。欺くわけではないのですよ、ザビ家を。事実あなたはそうお考えのはずだ。」
テアボロ:「おおそのとおりだ。ありがとう。そうさせてもらうよ。弱い私にはそんな君の気持ちがいちばん・・・。うぅ・・・、あ・・・ありがとう。いいお嬢さんだ。君の娘さんだね?」
シュウ:「ああいかん。紹介が遅れた。娘のミライです。飛び級でカレッジに進みます。こう見えても『宇宙飛行士になりたい』なんて言うんですよ。」
テアボロ:「しっかりしたいい娘さんだ。ミライさんか・・・。『ミライ』は日本語だね?英語では確か『FUTURE』、うん、いい名前だ。あなたたちによい未来があるといいね。」

警察官1:「下がって下がって。もっと下がれ!」
警察官2:「誰だ?やじ馬を入れたのは。」
警察官3:「出ろ!外へ出ろ!」
警察官4:「駄目だ!うるさい。もう駄目だ!」
ミライ:「あっ!」
シュウ:「どうしたね?」
ミライ:「今、あそこに女の子と男の子が見えたけどそれがお話の?」
シュウ:「ああそうだろう。」
ミライ:「かわいそう。」

サイド3 ムンゾ
民衆:「ザビ!ザビ!ザビ!ザビ・・・。」
キシリア:「ギレン部長。議長がお呼びです。」
ギレン:「ん?」
キシリア:「お出ましになるようです。」
ギレン:「キシリア。ジンバ・ラルをやったな?」
キシリア:「はい。いけませんでしたか?」
ギレン:「だが2人の方はしくじった。出先に任せきるからそうなる。違うか?」
キシリア:「う・・・。」
ギレン:「親衛隊は今までの私兵とは違う。その長になったからには責任を持って部下を統率しろ。」
キシリア:「国民運動部長としてのお話ですね?分かりました。」

民衆のどよめき
デギン:「ドズルがいないようだが。」
ギレン:「急用です。それも重要な。」
デギン:「フン。ガルマ。わしの車に乗れ。」
ガルマ:「あっ。は・・・はい。」
ギレン:「うん。うう・・・。」
キシリア:「うっ。」

♪♪~(ハモンの歌)
兵士1:「訳の分からん歌はやめろ!カラオケだ!」
兵士2:「姉ちゃんマイク。」
ハモン:「ああっ。」
兵士2:「マイク貸せってーの!エヘヘ・・・。」
ハモン:「ん?」
兵士2:「あっ。はあ?うわあ!」
兵士たち:「ん?」
ランバ・ラル:「クランプ!」
クランプ:「あっ。後片づけはご心配なく。」
ランバ・ラル:「すまんな。では少し暴れさせてもらうぞ。」
兵士3:「うっ!うわあ!」
ランバ・ラル:「うっ!」
兵士4:「えいっ!うっ・・・。」
兵士1:「いけ!植民地人なんかに負けるな!」
ランバ・ラル:「うう・・・。」
兵士5:「ええっ・・・。」
ランバ・ラル:「うおーっ!」
クランプ:「うわっ・・・。」
兵士1:「うう・・・。ま・・・負けるな。」
兵士6:「うわあ!」
兵士1:「や・・・やれ!」
ランバ・ラル:「待て!まだ帰るには早かろう。ほれ。マイクだ。歌え!聴いてやる。」
兵士1:「ええっ。いやもう・・・。」
ランバ・ラル:「歌え!えいっ!」
兵士1:「うわっうわっ・・・。」
ランバ・ラル:「さあ歌え!歌うんだ!」
ドズル:「もうそのぐらいでいいだろう。」
ランバ・ラル:「ん?」
ドズル:「ラル家の頭領が連邦の雑魚を相手に白兵戦か。」
ランバ・ラル:「ラル家だと?そんなものはもうない。あんたらにくびり殺された!」
ドズル:「そうだったな。気の毒なことをした。」
ランバ・ラル:「何!?」
ハモン:「あっ。うっ。」
ドズル:「頼みがあって来た。聞いてくれんか?俺の顔を立てて。」
ランバ・ラル:「頼み?」

ランバ・ラル:「どこへ行くんだ?」
ドズル:「ドッキングベイ。」
ランバ・ラル:「『月旅行へでもつきあえ』と?」
ドズル:「そんなに遠くじゃない。つい隣までだ。」

サイド3 エキストラ・バンチ ダーク・コロニー
ドズル:「んっ!実験はすぐ始められるか?」
研究者:「はっ!お待ちしておりました。」
ドズル:「おう。」
ガイア:「大尉殿。」
ランバ・ラル:「ん?」
ガイア:「やはりラル大尉でありましたか。お久しぶりであります。」
ランバ・ラル:「ガイア軍曹。」
ガイア:「ヘヘヘ。」
ランバ・ラル:「貴様将校になったのか?」
ガイア:「はい。」
ランバ・ラル:「早い昇進だな。何か手柄を立てたのか?」
ガイア:「これからするのです大尉殿。大いに。」
ランバ・ラル:「うむ・・・」
兵士1:「実験開始60秒前。」
ランバ・ラル:「ん?ん?」
兵士2:「各員配置に就け。」
兵士3:「スタンバイオーケー。」
兵士4:「オルテガ准尉。スタンバイオーケー?」
ランバ・ラル:「オルテガ?やつが准尉?」
ガイア:「マッシュもいますよ。皆同じ任務です。」
ランバ・ラル:「どういうことだ?あの兵隊やくざどもが。」
オルテガ:「こちらオルテガ伍長。ん?もといオルテガ准尉!スタンバイいつでもオーケー。早いとこ行くぞ。」
兵士5:「ドズル大佐がお見えだ。気を引き締めろ!」
ランバ・ラル:「何だ?これは。」
ドズル:「モビルワーカー01。これで連邦をたたき潰す。」
ランバ・ラル:「モビルワーカー?」
兵士6:「各種センサー異常なし。」
兵士7:「距離600でスタートします。」
兵士8:「ターゲットスタンバイ。」
ランバ・ラル:「あのガンタンクは?」
ドズル:「裏ルートから入手した連邦のMBT。」
兵士8:「実験スタート!」
兵士9:「速度30。通常歩行。」
兵士10:「走行状態加速中。距離450。」
兵士11:「ターゲット射撃開始。」
兵士12:「双方前進。異常なし。」
兵士13:「集弾良好!損傷は予想範囲内。」
ガイア:「オルテガ!シールドをしっかりキープしろ!」
オルテガ:「ちょろいもんだぜ。どんと来やがれ。」
兵士14:「主砲発射!」
オルテガ:「ハハハ・・・。」
兵士15:「損傷軽微。ターボ前進中。」
ガイア:「やるなオルテガ。」
オルテガ:「うおおっ!」
ガイア:「よし!やった!」
兵士16:「成功だ!」
兵士たち:「(歓喜の声)」
ランバ・ラル:「ああ・・・。」
ドズル:「フン。」

女性:「サイド5、ルウム行き005便。間もなく搭乗受け付けを開始いたします。」
アムロ:「うわあ!駄目駄目!駄目だよ、そっちへ行っちゃ!」
ハロ:「コラハナセハナセ。」
アムロ:「もう!」
通行人:「ハハハ!」
ハロ:「ナニヲスル?オマエハダレダ?ボクハハロ。オマエハダレダ?」
アムロ:「待ってよ父さん!」
テム:「早く来なさい!だから『まだ開けちゃ駄目だ』って言っただろ。ったく。買ってやるんじゃなかった。」
テアボロ:「どうしたね?セイラ。」
セイラ:「あっ。男の子が大きなおもちゃに逃げられそうになって。」
テアボロ:「そうか。ハハハ・・・。よっぽど欲しかったおもちゃなんだろう。」
女性:「荷物ルウムに送りました。よろしくね。」
セイラ:「(ルシファ。また宇宙へ行くのよ、これがお母さんの所へ帰るのだったら・・・どんなにうれしいだろう)」

アストライア:「そうですか。ローゼルシア様は亡くなられていたのですね。」
ハモン:「知らなかったのですか?」
アストライア:「ええ。私には何も知らされないんです。あの子たちが今どうしているかも。」
ハモン:「そんなことも?」
アストライア:「アルテイシアはここを出るとき『毎日手紙を書く』と言っていたからきっと・・・。」
ハモン:「お2人は元気です。地球でテアボロ・マスという方の養子になってそれで・・・。はぁ。」
アストライア:「いいのよクラウレ。今のお話で十分。ねえお店は?エデンはどう?」
ハモン:「え?ああ。ええ。変わりないわ。いろいろな人が来て、たまにはけんかがあったり・・・。」
アストライア:「そう。懐かしい。まるでもう何十年も前のことみたい。あのころはまだみんな若くてあしたのことなんか考えもせずに生きてた。そこへ疲れたあの人が来た。ただ優しくしてあげたかっただけ、傷ついたあの人に。それがどんなことかも知らず・・・。でも後悔はしていないわ。ただ何か1つでも望みがかなえられるのだったら、一晩だけでいいからあの子たちと・・・。」
ハモン:「(すすり泣き)」
老女:「あっ・・・。そ・・・そろそろ面会は・・・。あとお薬の・・・。うわっ。」
ハモン:「アストライアは今眠っています。静かにしておいてあげてください。そのくらいのことはしてあげられるでしょ?」
老女:「あ・・・。」
ハモン:「あなたたちにも。」

マッシュ:「うおー。」
ランバ・ラル:「貴様!」
マッシュ:「何の・・・。」
研究者:「被衝撃係数1.2メガ。」
兵士1:「瞬間加速度80万ガル。」
兵士2:「テストユニット02。左腕第1関節異常発生。」
ランバ・ラル:「貴様!」
兵士3:「計測不能。テストユニット02。頭部損傷。」
オルテガ:「ちっ。」
ガイア:「大尉の勝ちだ。さすがだな。」
オルテガ:「お?」
ドズル:「フッ。2人を出せ!」
マッシュ:「止めんな!頭なんかなくても。」
ランバ・ラル:「大佐。この軍はどうかしてるぞ。マッシュは俺を殺そうとした。」
マッシュ:「大尉こそ!」
ドズル:「2人とも降りろ!けんかの続きはその後だ。」
ランバ・ラル:「ともかくこんなコックピットじゃ命がいくつあっても足りんぞ!あとマニピュレーターは大幅に改修すべきだ。腕回りが不自由でたまらん。」
ドズル:「全て貴重な意見だ。次の試作機に反映させてもらう。」

タチ:「えっ!うわあ!大尉殿。どうしたんですか?またけんかですか?」
ランバ・ラル:「うるさい!今日もアルバイトか。ご苦労なこった。」
タチ:「違いますって。僕はボランティア・・・。ああっ。ほら危ない!肩を・・・。」
ランバ・ラル:「いらん!」
クランプ:「あ?」
ハモン:「あっ?」
ランバ・ラル:「やあ。奥は空いているか?」
ハモン:「そんなこと何もあなたが・・・。」
ランバ・ラル:「軽蔑しろ。俺はザビ家の雇われ犬になった。」
ハモン:「ドズル様のご用なのでしょ?あの方はギレンやキシリアとは違います。今日アストライア様に会いました。」
ランバ・ラル:「ん?」
ハモン:「ドズル様のお計らいでしょ。あなたのことがあったから。」
ランバ・ラル:「どんな様子だった?」
ハモン:「このお店のことを聞きました。それから昔のことを少し話して・・・。あとは・・・。ふびんすぎますあの人・・・。死んでしまいます。」
ランバ・ラル:「うっうう・・・。キャスバルとアルテイシアはルウムに来るのだったな?」
ハモン:「あ・・・。はい。」
ランバ・ラル:「ルウムか・・・。」

サイド5 ルウム
ロジェ:「お待ちしていました。テキサス・ビレッジ、チーフマネージャーのロジェ・アズナブルです。こちらは妻のミシェル。」
セイラ:「あっ・・・。」
テアボロ:「ほう・・・。」
ロジェ:「もともとはホテルとして造られました。テキサスというよりもっと北のワイオミングのようなイメージですが・・・。どうです?気に入っていただけましたか?」
テアボロ:「もちろん。」
セイラ:「さあルシファ。新しいおうちよ。」
ルシファ:「・・・(くしゃみ)」

セイラ:「お兄さん!待ってよ。ああ意地悪!置いていかないで。はっ!おうちがあんなにちっちゃい。随分遠くまで来ちゃったのね。お?あん。また!お馬さん。お兄さんを追いかけて。早く。早く。走って!あ・・・。すごい!お兄さん、もうあんなに?え?違う?兄さんじゃ・・・ない?」
シャア:「勇ましいカウボーイだね。名前はもしかしてセイラ・マス?」
セイラ:「うん。」
シャア:「僕はシャア・アズナブル。君たちの来ることは聞いていたよ。」
セイラ:「シャア・アズナブル?」
シャア:「父に会ったろう?言ってなかった?『君のお兄さんと同じ年の息子がいる』って。」
セイラ:「(エドワウ兄さんにそっくり。違うのは瞳の色くらい兄さんは青いけどこの人は・・・)」
シャア:「君、手綱の持ち方が違うよ。もっと肩の力を抜いて。緩く。そうそう。速く走らせようとしないでお尻を浮かせて。うまい。うまい。その調子。それがトロット。足で横腹をたたくともっと速くなるよ。」
セイラ:「アハハ・・・。」
シャア:「そう。それがキャンター。君は筋がいい。きっといいカウボーイになれるよ。ほらご覧。あれがセンター・ビレッジ。学校や教会がある。それから僕の家も。」
セイラ:「そこに住んでいるの?」
シャア:「いや。僕は中央コロニーのハイスクールに入ったから。ん?」
セイラ:「あっ。兄さんよ。」
シャア:「あ?」
セイラ:「あっ。あ・・・。」
シャア:「ふ~ん。」
エドワウ:「エドワウ・マス。」
シャア:「シャア・アズナブルだ。アハハ。」
セイラ:「はっ!はぁ・・・。」

セイラ:「お母さん。今日はたくさん書くことがあります。いろいろ新しいことが始まっています。(ルシファの寝息)ん?今ルシファが変な息をしました。ルシファも年をとりました。このテキサス・コロニーはムンゾと違って、夜でも星や月の光が差し込んで明るいんです。窓からは湖がよく見えます。あと遠くにある村もアズナブルさんたちはそこに住んでいます。アズナブルさんの息子さんに会いました。シャアさんといいます。シャアさんは兄さんと同い年で信じられないくらいそっくりなんです。あんまり似ているから2人が会ったとき、どうなるかと思いました。でも大丈夫でした。2人はいいお友達になれそうです。シャアさんに馬の乗り方を教えてもらいました。もうキャンターまでマスターしたのよ。今度はギャロップに・・・あっ。兄さん?」
エドワウ:「うう・・・。」
セイラ:「どうしたの?兄さん。」
エドワウ:「アルテイシア・・・。母さんが・・・死んだ。」
セイラ:「あっ!はっ。」
ルシファ:「(鳴き声)」
セイラ:「ハァハァ・・・。うう・・・。」
ハモン:「『悲しいお知らせです。でもお知らせしなければなりません。気を強く持ってください。お母様のアストライア様が昨夜亡くなられました』」
セイラ:「嫌ぁ~!!!」

-エドワウとセイラを愛せし母-

ロジェ:「また行っていますね。」
テアボロ:「ふびんなことです。せめてアストライアという名前だけでも刻んでやりたいが・・・。誰に見られるかもしれず。」
ロジェ:「分かっています。秘密はお守りします。息子のシャアも何も知りません。」
テアボロ:「神のご加護を祈るだけです。あれたちとあなた方心優しき人たちのために。」

テアボロ:「校長との話はすぐ済むだろうからお前たちはアズナブルさんのお店で待っていなさい。」

校長:「お子様たちはとても優秀でいらっしゃいます。殊にエドワウ君は。どうでしょう?すぐにも上の学校へ進まれては。」
テアボロ:「はっきり言ってください。エドワウに何か?」
校長:「はあ・・・。エドワウ君の教育は私どもには・・・。」
テアボロ:「あれが悪いことでも?」
校長:「とんでもありません。悪いどころか何人かいた問題生たちがすっかりおとなしくなりました。彼のおかげで。ただ・・・。」
テアボロ:「ただ?」
校長:「怖いのです、恐ろしいのです、彼が。」
テアボロ:「ん?」
校長:「長年、多くの青少年を見てきましたがあの・・・エドワウ君のような子は知りません。明せきな頭脳、するどい感性、類いまれな素質を持った子です。しかし・・・冷たいのです。あの子はまるで抜き身のナイフのようです。大いなる災厄をもたらすことがなければいいのですが・・・。ひい!うわあ。ああ・・・。」
テアボロ:「もう結構だ!」

ロジェ:「ん?おや?もうお済みですか?」
ミシェル:「あっ?」
テアボロ:「あの校長は首だ!」
セイラ:「あっ?」
エドワウ:「ん?」
ミシェル:「あっ。ああ・・・。」
カウボーイ:「ビールとホットドッグをくれ。」

テアボロ:「はぁ。いくら何でもひどい。ああまで言われる筋合いはない。アズナブルさん。ものは相談だが・・・。」
ロジェ:「ん?」
テアボロ:「シャア君とあれは気が合うようだ。どうだろう?彼と同じ学校にやるというのは。」
ロジェ:「悪くない考えだとは思いますが・・・実はシャアは・・・学校を中退してムンゾの士官学校を受験したんです。」
テアボロ:「ジオンの士官学校を?」

セイラ:「ん?お兄さん?どこへ行くの?」
カウボーイ:「何だい?坊や。」
エドワウ:「いつまでつきまとう気だ?」
カウボーイ:「ん?」
セイラ:「あっ。」
ミシェル:「あっ!」
カウボーイ:「坊や、これはどういう冗談・・・。うわっ。」
客:「(悲鳴)」
テアボロ:「あっ?」
ロジェ:「あっ?」
カウボーイ:「うあっ」
セイラ:「やめて!兄さん!お父さん。兄さんを止めて!」
カウボーイ:「こいつはひでえ。とんだ悪ガキだ!うっあっ!」
ロジェ:「エドワウ君やめなさい!」
校長:「(恐ろしいのです、彼が・・・)」
男性1:「何だ?おい。」
男性2:「けんかだ。」
男性3:「アトラクション?」
男性4:「いや本物だ。」
女性:「あれはお屋敷の子じゃないの?」
カウボーイ:「うう・・・。こっちが手を出さないと思って・・・。いい気になるな!貴様!えい!あっおうっ。うわあ!」
セイラ:「やめて!やめて!お兄さん。その人を殺す気?その人が何をしたの?どうしてそんなにまでするの?そんなことして何になるの?お母さんが喜ぶとでも思うの?嫌いだ!そんなお兄さんなんか!」
エドワウ:「ごめんよアルテイシア。もうしないよ。」
セイラ:「うっ。うう・・・。」

セイラ:「どうしたの?ルシファ。最近元気ないわね。あした村の動物病院へ行こうね。注射は痛くないから。」
シャア:「やった!合格だよ。士官学校に合格したんだ。すごいでしょ?てっきり駄目だと思いました。だってすごい倍率なんですもの。やっぱり今熱いのはジオンですよ。ジオン・ズム・ダイクンの思想にようやく時代が追いついてきたんです。な?エドワウもそう思うだろ?」
エドワウ:「えっ?あっああ。」
シャア:「コロニー社会は今や一方的に収奪されている。ギレン・ザビの言うとおりです。スペースノイドの富は奪われ、その富を使って地球人は地球を荒廃に導いてゆく。」
ロジェ:「シャア!そんな話ばかり。せっかくお祝いしていただいているのに。」
シャア:「ああすみません。僕今少し興奮してました?」
テアボロ:「まあそうは言っても戦争になるわけじゃなし。」
シャア:「確かに今はそうです。でも10年後、いや5年後はどうでしょう?分かりませんよ。」
ロジェ:「シャア!お前はそんなつもりで軍人になるのか!なら父さんは許さんぞ。戦争なんてとんでもない。」
シャア:「アハッ。まあまあ。」
セイラ:「はぁ。嫌な話ばっかり。シャアさんてあんな人だったかしら?ルシファ。ごめんね置いてっちゃって。御飯食べた?ん?ルシファ?」

セイラ:「ルシファ。お前、お母さんが独りじゃ寂しいから行ってあげたのよね?私たちの分もお母さんを元気づけてあげて。ね。」
エドワウ:「アルテイシア。」
セイラ:「あっ?」
エドワウ:「しばらく会えなくなる。」
セイラ:「え?」
エドワウ:「テアボロさんと話し合って決めたんだ。僕はルウムの学校へ行く。」
セイラ:「ルウム?シャアさんの言っていた学校?でもあの人はジオンへ行って軍人になるのよ。」
エドワウ:「関係ない。僕は僕だ。さようならアルテイシア。」
セイラ:「どうして?どうしてみんな行っちゃうの?どうしていなくなっちゃうのよ?お母さんが死んで、ルシファも死んじゃったのに、お兄さんまで・・・。待って!行かないで兄さん!キャスバル兄さん!」

ED
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